1. ​自己効力感の芽生え

​自己効力感の芽生え

園長コラム
 残暑が続いた9月でしたが、子ども達は運動会に向けて、巧技台や跳び箱、はしごなどを使って多様な動きを楽しみながら、活発に体を動かしてきました。嶺町幼稚園では、「できた」という結果ではなく、「やってみよう」と思える心を育てることを大切にしています。初めは見ることからスタートしてもよいのです。子どもは見ることで、次への行動のイメージがつき、納得したり不安を解消していきます。すると2回目は、挑戦してみようとする子が増えてきます。そして「やってみたらできた」の自信の積み重ねが、その子の自己効力感を育てていきます。
自己効力感とは、自分の「能力」や「可能性」に対して信じることで、根拠に基づいた自信です。「自分はできる」と思える根拠となるのは、過去の成功体験やそこまでの努力、学んできたことなどからきています。特に幼児期においては、多様な成功体験が大切です。成功体験とは、物事ができるようになることだけではありません。運動会のリレーでは、仲間を応援することで仲間に感謝された、友達の真似をして早く走れるようになったと自分で思うことも成功体験です。周囲の友達間の言動のやりとりで、こうすれば相手が喜ぶと知れたなど、具体的な学びが持てればそれも成功体験です。これらの学びは、根拠がありますから、次はこうしてみようという考える力につながっています。そこに大人が一声かけてあげることで、学びは深まっていきます。ポイントとしては、運動神経がいいね、足が速いねと、能力をほめるのではなく、一生懸命走っている姿が素敵だね、最後までがんばったねと努力をほめることです。能力はこの先もっと高い能力を持つ他者と出会ったとき、限界を感じかねません。しかし努力はどんな状況でも発揮できます。このような成功体験の積み重ねが、失敗しても次に向けて挑戦する意欲を作ったり、根気よく物事に取り組む基礎を作ったり、自分なりの解決策を考える力も身についていきます。
 
 得意の定義とは、「志し(たもの)を得て満足感にあふれること」と辞書に載っています。これは他人と比較することではありません。自己の中で満足感を得ていればよいのです。海外の方に得意ことは何ですかと聞いたところ、「お母さん」と答える人がいるそうです。それはお母さんのことならなんでも知っているということですが、それ以外にも、日本語でありがとう、こんにちはと言えると日本語が話せると得意げに言います。一方日本人は、得意の意味が周囲と比較して秀でていることと思いがちです。それなりに英語が話せても、なかなか話せるという人はいません。走ることは好きだけど、~君の方が速いから得意ではないと言ってしまいがちです。日本人は協調性のある所はよい面ではありますが、他者を気にしすぎるあまり素直な自己表現ができていないときもある気がします。得意をたくさん作り、その子が夢中に取り組む環境をたっぷりと幼児期に用意してあげたいですね。
 
 いよいよ明日は運動会です。準備・当日のお手伝いと、保護者の皆さまに多くのご協力を頂くことに感謝申し上げます。嶺町幼稚園では皆で作り上げ、皆で楽しむ運動会になればと思っています。当日は子ども達の発表の場ではなく、子ども達の成長を喜び合える時間になれたらうれしいです。どうぞ楽しみにされていてください。
園長 齊藤晴彦

2024年9月27日

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