朝晩はすっかり涼しくなり、秋本番となりました。子ども達は運動会を通して自信をつけ、とても活発的に体を動かしています。体の育ちに連動して言葉の成長も見られ、会話も豊かになってきました。言いすぎたり、誤解が生じたりすることもありますが、教師が間を取り持ちながら、会話を通して関係性が取れるように配慮しています。子ども達の勢いを大切に、のびのびと幼稚園生活を送っていきたいと思います。
先日年長児が海外の方とオンライン上で話をする体験を致しました。5人一組20分間を3週間に渡って3回行いました。初対面の言葉が通じない相手に、興味をもって話してみることが目的です。1回目は、自己紹介・質問されたことへの答えを積極的に言葉にする子が半分、質問されたことは答えている子が1/4、残りの1/4の子は、緊張もあり観察することから入りました。もちろん話したくない子に無理に話すようには誘導しません。興味を示した時点で自ら話し出すことが大切です。2回目になると、慣れてきた子も増え、8割の子が積極的に話していました。2回目までの間に、「次はいつ話せるの」と聞く子もおり、主体的に楽しんで取り組んでいる子どもの姿がありました。
そして3回目の前に、話したいことを家で考えたり、見せたいものがあれば持ってきてもよいことを伝えました。すると、3回目は持参したものをもとに自分の思いを伝える子が多くいました。絵を描いてくる子、自分の作った物を写真で撮ってくる子、折り紙を折ってくる子、質問を書いてくる子など様々でした。事前準備が話しの助けとなり、持ってき物を丁寧に説明しながら紹介している姿に、年長児の自己表現力が身についてきたことを実感しました。どの子にも共通して言えることは、相手のことを考えながら過ごした時間のすばらしさです。もちろん保護者の助けがあったと思うのですが、「こうしてみたい」と思考・感情を動かした時間が、子どもの興味関心を広げ、意欲的に3回目を迎えたのだと思います。このような繰り返しで表現力を身に着けていくのが幼児です。幼児期は、子どもの話をよく聞いてあげる、最後まで聞いてあげる、うなずいてもらうなど、1対1で話を聞いてくれる相手が必要です。大人も話を聞いてもらうことで自分の気持ちを整理することができると思いますが、子どもも一緒で、話しながら納得し、自分に気づいていきます。
ポイントとしては、
1,子どもの話に共感する ― 安心して話すようになります
2,視野を広げる言葉をかけてあげる ― 子どもの視野が広がって結びついたことがまた言葉になっていきます。
3,その時の感情を聞いてあげる ― 感情を具体的に表現できるようになります。嫌な気持ちの中には、悲しい・つらい・悔しい・怒っているなど、様々な感情が整理されていきます。
4,年長児になったら、「どうしたらよかっただろうね」と付け加えてあげる ― 次の気持ちが生まれ、行動につながっていく。
大切なのは、正しい答えより、自分の気落ちを素直に表現してみようと思える心です。子ども達の話しに耳を傾け、自己表現している時間を最後まで保証してあげると共に、表現力を豊かに広げてあげたいですね。
園長 齊藤晴彦