気温の高い日が続くようになってきました。屋上のプールで水遊びを楽しんだり、縦割りクラスではオアフクラブにプール体験に行っています。友達と一緒に無邪気に水遊びを楽しむ姿がとてもほほえましいです。
さて、嶺町幼稚園では様々な食育活動を行っています。1学期はクッキーや重ね汁、梅ジュースを作り、7月にはホットケーキやトウモロコシを焼いて食べます。その他にも、お月見団子や焼き芋、カレーライス作りなど年間を通して様々な食材に触れ、食べることを楽しんでいます。これらの食育体験は、以下のようなことを配慮しています。
〇季節感のある食材を提供すること
毎年時期になると園庭の果物は実をつけますし、トウモロコシ、焼き芋など同じ時期に同じように3年間いただきます。旬の素材は、新鮮で栄養価も高く、その時期に起こりやすい体調不良を助ける成分が含まれているともいわれています。野菜を最もおいしいと感じる旬の時期に食し、野菜のうまみを感じたり、季節の食材を楽しみにする心が育ってもらえたらと思っています。
〇素材の味を楽しむ・感じる
重ね汁作りでは、野菜そのものの味を感じてもらいたいため、味付けは薄味の物を提供しています。いろいろに調理した野菜もおいしいですが、幼児期にはまず野菜本来の味を知ることが必要です。子どもは小さければ小さいほど味に敏感です。小さいころから濃い味付けの物になれてしまうと、食事本来の味や薄味の料理が物足りなくなり、濃い味の物ばかりを好むようになってしまいます。生活習慣病になるリスクもあります。食材の持つ様々な味を知り、食べられる味が広がっていくことで、健やかな味覚の成長につなげてあげたいと思っています。
〇できあがる過程を楽しむ
食事は何もないところから出来上がりません。子ども達の知らないところで食事が出来上がるのではなく、保育室でにおいをかいだり、切る音を聞いたり、出来上がっていく過程を感じ・体験したうえで食事をすることで、食事に対する思いが深まってくると考えています。時間に余裕のある幼稚園だからこそ、この体験ができると思っています。
〇皆で同じものを食べることに喜びを感じる
皆で同じものを食べるからこそ、そこに喜びが生まれます。友達と一緒だからこそ、自分たちで作ったからこそ、よりおいしく感じ、苦手な野菜に挑戦しようとする子も見られます。他の学年におすそ分けすることも喜びにつながっています。
嶺町幼稚園では、このような体験を子ども達にしてほしく、食育を工夫して行っています。また、様々な場面で食の会のお母さまにお手伝いしていただき、子ども達の食育体験がより充実したものになるようご協力いただいています。作る食べるだけではなく、事前にレシピを考えたり、準備することも食育の一環であると考えています。普段の生活もそうですが、地道に行っていることが、数年後、数十年後に成果として現れていきます。この見えない努力が子ども達に届いていくのが教育です。食の故郷がこの幼児期に作られていってほしいと願っています。
園長 齊藤晴彦