寒暖を繰り返しながら少しずつ春の訪れを感じるようになってきました。春光の中、園庭を駆け回る子ども達を見ると、また一つ大きくなるのだと感慨深いです。子ども達からは自然と「小学校楽しみだなあ」「もうすぐ藤色だよ」と声が上がり、進級を楽しみにしている様子がうかがえます。楽しみな気持ちは、子どもの心を安定させます。どうぞ保護者の皆様も「前向きな楽しみ」を子ども達に伝えてあげ、進級する喜びをご家族で楽しみにされてください。
年長児は、いよいよ4月から小学生です。小学校に入ると、勉強が始まります。進級のお祝いの会では年長児に、勉強をする理由を「なりたい者になるため」、「やりたいことをやるため」と伝えています。例えば、どんな仕事をつくにも、文章が読め、計算が必要になってきます。電車の運転士もそうです。お花屋さんもそうです。幼稚園の先生もそうです。お母さん、お父さんになっても必要です。英語が話せるようになると、世界中の人と話すことができるようになることなど、具体的に伝えています。「人と話し、考え、好きなことを楽しむためにも、勉強をしていろいろなことを知ってもらいたい」と、話しています。良い点数を取ることも必要かもしれませんが、それ以上に、子ども達に学ぶことは楽しいと思える気持ちが育ってほしいと思っています。
そして保護者の皆様には、子どもが何を感じ、何に興味を持っているかに目を向けてもらいたいと思います。小学生になると、会話の力がますます育ってきます。ご家庭でたくさん会話をしていただき、そこから子どもの興味を引き出してあげてください。周りと比較せず、その子の興味を大切にし、大人が一緒になって興味のある場所に足を運んだり、調べたりすることで、安心して学びを深めていきます。子ども任せにしないことがポイントです。大人がお子様と一緒に学んでいくことが、興味の幅を広げていくのだと思います。小学校時代に学びの芽を育んであげるためにも、大人がきっかけづくりをしてあげたいですね。
思い返すと、年長児の入園は2か月の休園からスタートした年でした。目に見えないウイルスとの戦いで、誰もが不安を感じていた時でした。私たち大人は子ども達の体験が不足しないよう、できることを精一杯行ってまいりました。幼稚園でも日常の保育・行事を行うにあたってのお願い事項など、保護者の皆様方には多大なるご理解とご協力を得ながら、ここまで来ることができました。あらためて感謝申し上げます。
子どもたちは自己の感性を存分に発揮しながら、3年間で多くのことを吸収してきました。「自分は自分でいいのだ」という自己を肯定する原点が、嶺町幼稚園で育まれ、この先希望に満ちた人生を送ってほしいと願っています。
卒園児ならびに保護者の皆様が
まずますご健康で明るい未来が訪れますように、お祈りしています。
園長 齊藤晴彦