聞くこと

園長コラム
 先日たてわりクラスの母親参加日がありました。母親参加日に向けてプレゼントを製作し、皆心待ちにしていました。プレゼントを作るにあたって、お母さまのことを考えながら、木に色を塗っていきました。「お母さんは赤が好きだな」「ピンクも入れてみよう」「いろいろな色があった方が喜ぶかもしれない」など、思い思いに考え色を付けていきました。お母さんのことを真剣に考え、心が動く瞬間です。私たちは、すぐに色が思い浮かばないことに関しても急かすことはしません。じっくりその子のペースを守り、次の日に思い浮かぶようであれば次の日まで待ちます。大人が次々に提案するのではなく、その子が自分で考え実行できるタイミングをできるだけ待つようにします。主体的に思考をめぐらす時間をたっぷりとるようにしています。
 
 子どもの話や意見を聞いたうえで、すぐに回答を求めずに待つことはとても大切なことです。子どもが話し始めた時は、できるだけ最後まで聞き切ってあげてください。子どもたちは誰かに話を聞いてもらいたい、自分の気持ちを分かってもらいたいと思っています。大人も同じですね。そして聞いた後に「~だったんだね」「うれしかったね」「それはつらかったね」など、子どもの気持ちに寄り添った言葉がけをしてあげましょう。共感は解決以上に安心感を得、心が満たされていきます。子どもが自分の言いたい事を自分の言葉で伝える経験が、「もっと話したい」、「自分で伝えたい」という気持ちを育て、表現する喜びを体得していきます。その積み重ねは、自ら思考を整理し、自分の考えを客観視できる力にもつながっていきます。
 また、困っているとき、意見を求めたいとき、大人が見ていない世界のことを知りたいときなど、子どもから話を聞きたいときもあると思います。問いかけに返答がないときは、大人は言葉で誘導しながら回答を求め、アドバイスをしてしまいがちです。もちろんアドバイスや一緒に考えていくことはとても大切なことですが、まずは、子どもがどんな気持ちでいるのかに目をむけて下さい。「楽しい」のか「嬉しい」のか「悲しい」のか、「聞いてあげる」ではなく、「気持ちを分かってあげたい」と思考を変えてみましょう。そして言葉と同様に、大人の顔や表情もみています。何かをしながらではなく、子どもの顔をみながら話を聞き、笑顔でうなずいたり、相づちを打ったり、反応してあげることも大切です。
 聞いてもらえる→自分で「考える」→自分で「決める」→たとえ失敗しても「聞いてもらえる」→そこから「学ぶ」この繰り返しが子どもを一歩一歩発達させていきます。
園長 斎藤晴彦

2022年5月27日

< 母の日参加日  |  一覧へ戻る  |  2022.5.27 >

< 前ページ  |  一覧へ戻る  |  次ページ >

最近の画像

このページのトップへ

このページのトップへ

動画説明会申込フォーム