入園・進級して1か月がたちました。子どもたちは少しずつ新しいクラスに慣れてきました。先日縦割りクラスでクッキー作りを行いました。自分たちで作るクッキーは格別で、できあがったものを誇らしげに園長室に持ってきてくれました。その場で食べて感想を伝えると、「私が作ったんだよ」「散歩の時に食べるのが楽しみだな」と、主体的に活動に取り組んだ様子が垣間見えました。食べ終わった後には、「おいしかったな」「また作りたいな」と、喜びにあふれていました。年少児は視野が広がり始め、私が脚立に乗ってサクランボのネットを取り付ける傍ら、木の板を組み合わせて脚立に見立てて遊んだり、丸太を切ればそばに寄ってきて土台を抑えてくれたりと、興味のある場所に行っては自分なりの関わりを持っています。幼稚園にはいろいろな先生がいると気づき始めています。
さて、クラスの中では、初めから元気にクラスになじんでいく子もいれば、様子をうかがったうえで、少しずつクラスに溶け込んでいく子もいます。その子が様子を見、考える時間をたっぷりととってあげることは、クラスの様子やルールを理解し、自分がどうやって動いていこうか考えている時間でもあります。私たちは、子どもが自分のペースでなじんでいけると信じ、寄り添っていきます。そして「昨日できなかったことが今日はできた」という積み重ねを大切にし、焦らずに一人一人の成長を見守っていきます。
日常の動きはとても早く、目の前のことに精一杯で一日が終わることも多くあると思います。しかし、立ち止まって見ることで新しい発見がある、見えてくるものがあります。そこに子どもの心を動かす大切な時間があります。
歩いているときにいつもと異なる花を発見したら、5分であっても立ち止まってみることで見えてくることがあります。きれいと感じる心や、親子(友達同士や教師)での共有する時間を通して、目に見えないつながりが生まれ、信頼関係が深まります。大切なのは時間に追われすぎないことです。時間が限られてくると,子どもの話にじっくり耳を傾け,聞き入れる余裕がなくなってしまいます。子どもたちには,一度立ち止まり,ゆとりをもって物事を一緒に考える時間が必要です。時間の制約があまりないのも幼稚園くらいかもしれません。少し意識して子どもたちの声に耳を傾け、立ち止まりながら子育てを楽しみたいですね。
園長 斎藤晴彦