梅の花も咲き始め、柔らかな春の陽ざしを感じるようになりました。
土手散歩でも、澄んだ空気の中、多摩川から美しく見える冠雪の富士山や、菜の花やナズナ、オオイヌノフグリ、大根の花を見つけて大喜びの子どもたちです。
先日、年長児の年齢別活動『家作り』に遊びに行きました。それ以前から花組の子どもたちは、すぐ隣の大地組に沢山の大きなダンボールが置かれている事に気づき「なにか始まる…!」とそわそわしたり、部屋を仕切っているパーテーションの下からダンボールの板が飛び出してきたりして、ずっと隣の様子が気になり期待に胸を膨らませていました。そして、心待ちにしていた家作り見学。年長児の作るそれは、とても迫力があり、キッチン、ダイニング、浴室、寝室など家の中の様子が細かく再現してあり天井のライトにまで拘って作り込んでいるところもありました。始めは、そのダイナミックさに圧倒されていた子どもたちでしたが、すぐに一人一人がいろんなお部屋に探検に出掛けていきます。年長児が「ここでご飯が食べられるよ。座ってください。」「お手洗いはあちらです!」など優しく教えてくれリードをしてくれました。花組の子どもたちもなんだか居心地が良くなってきてそれぞれのお気に入りの家具や家電、調理器具に触れながら世界に浸りごっこ遊びを楽しみました。
二日目の見学では、子どもたちから「お邪魔します!」と挨拶をして入っていく様子や年少児から「これはどうやって使うの?」と聞く場面もあり、お兄さんお姉さんたちの温かい雰囲気の中、主体的に楽しむ様子が伝わってきました。
さて、担任が驚いたのはここからです。その次の日から、室内遊びでは「家ごっこ」がブームとなりました。今までは、炊事ごっこにフライパンやお皿が出てきても、コンロのボタンやコンロの火まで細かく再現される事はなかったのですが、より具体的に創造しています。水道の蛇口から赤色、水色のシルクを使ってお湯と水を分けたり、玄関に郵便受けを作ったり、ムートンのベッドに丁度いい大きさの木を持ってきてお客さんが寝られるような枕を用意してあげたり。
家作りに遊びに行った経験が、子どもたちの中で良い刺激となり吸収し、それをすぐに使い慣れた玩具で思い思いに表現する。そして、作りこみ、世界観を自分たちで楽しんだ後は、お客さんを招待する事に発展し広がっていきました。子どもたちが大人顔負けに担任や友だちを招待し、丁寧なおもてなしをする様子は本当に微笑ましかったです。経験がお家ごっことして繋がっていき、ちょっとしたお客さんとお家の方の役割を言葉や動きで豊かに表現しており、異年齢活動として年長児から得た遊びのヒントや関わり方を自分たちなりに創意工夫していく姿に成長を感じました。
さて、子どもたちが入園してからもうすぐ一年が経とうとしています。年少児にとっては、初めての集団生活を過ごした一年でした。始めは不安で泣いていた子どもたちも、今では大好きな友だちとお気に入りの遊びを楽しみ、安心できる環境のもと、自分を発揮しながら過ごしております。憧れの桃色さんへと、一人一人が胸を張って進級して行けるよう、残り少なくなった花組の子どもたちとの日々の保育に励んで参ります。
年少 花組担任 加納 みのり
年中・年齢別クラスでは、「お店屋さんを開く」ことをテーマに、食後、果物づく りをしました。「今の時期、果物は何があるでしょう?」問いかけると「りんご」「みかん」「バナナ」という発言があり、まず、りんごを作りました。新聞紙を丸めて、折り紙にのりを付けたもので包みます。「木がついてるよね!」とある子が言うので、枝を切ってボンドで差し込みました。「あー、りんごだー」「次はみかんにしよーよー」
2日目はみかん作り、紙を丸める手つきも良く、作業が進みます。「みかんの葉っぱがついてるのあるよねー」「バナナもやりたいー」子どもたちの勢いが感じられます。「バナナは細いよね」「新聞紙半分がいーんじゃない」意見がどんどん出て、皆がそれを取り入れて工夫して作っています。「私、ぶどうが好きなんだけどー」「洋なしもあります」「アボカドもあるよー」「いちごが好きー」では、それぞれ好きな物を作ってみましょう。女の子はいちごを作る子が多く、緑でヘタも付けました。
3日目は、おせんべいとけん玉を作りました。特にけん玉は、紙コップに絵を描き、毛糸に丸めた紙をテープで貼るという単純な物ですが、でき上がると皆さんケン玉遊びが楽しくなり、「これ持って帰りたいんだけど」と言う子もいました。また、私がティッシュより薄いお花紙でお花を作っていると、数人の子がやりたいと来て、ゆっくり丁寧にお花を開かせ割箸に付けると「葉っぱもつけよーよ」と提案してくれた子が、葉っぱの折り方を皆に教えてくれて、子どもたちで完成させることができました。
さて、いよいよ開店日、衝立を並べてクレヨン画の看板を取り付けて、それぞれお店屋さんの席につきます。お客さんとして、赤色さんがクラスごとに来てくれました。入り口にはチケット係が3人、お客さんに1枚ずつ渡していきます。「いらっしゃいませー」「りんごおいしいですよー」「お花はいかがですかー」「けん玉やさんでーす」けん玉の実演販売が功をなし、前半で完売すると、看板をひっくり返して閉店させていました。赤色さんは買う物をすぐ決める子、ゆっくり店を見て回ってから決める子、先生に援助してもらいながら買う子、それぞれお買い物を楽しんでいました。「お店屋さん、楽しかったねー」「またやりたいなー」
様々な素材を用いての制作、皆で意見を出し合って作り上げていく過程、お客さんが楽しんでくれた喜び を共有して、充実した年齢別活動の日々になりました。
このような生き生きとした活動が、子どもの血肉になり、健康な体と心を育んでいきます。
年中 まつぼっくりグループ担当 佐々木美登里
今年は暖冬で、早くも土手では春の気配が感じられます。先日藤色さんと散歩に行ったときに、沢山の花をつけた河津桜をみたり、オオイヌノフグリが絨毯のように花開く姿を発見して子どもたちは大喜びでした。
2月に入ってからの3週間、年長児は「けやき」「さくら」グループに分かれて年齢別での活動を楽しみました。1週目はカレー作りやお家作りを一緒にする3つのグループに分かれます。メンバーが決まると次はグループ名も子どもたち同士で相談して決めていきました。みんなで意見を出し合っていくと、「それいいね」と盛り上がったり、「じゃあこの2つをくっつけちゃおうよ」と提案する声が上がったり。それぞれに色々な思いを抱えながら話し合いをしていくと、グループとしての結束力が高まっていきました。
カレー作りにむけて野菜を入れる担当やカレールーを入れる担当も相談していきます。希望が重なってしまったり、逆に誰もいない担当が出てくると子どもたちの中から自然に「私こっちでもいいよ」という声が聞こえます。お互いに譲り合いながら決めると、当日は「おいしくな~れ」と願いながらみんなで協力してカレーを作り上げていました。カレーを食べた年中児、年少児に「おいしかったよ!」と言われてみんなとても嬉しそうな表情をしていました。
2週目からは皆さんに協力していただいた資材を使用してのお家づくりが始まります。まず最初に壁を作ると、お風呂や台所などをグループのみんなで協力しながら作っていきます。お風呂には水が出てくるシャワーがあったり、台所にはコンロを作ってお料理が出来るようにしていました。一つのグループが筒の先に紙を貼り、小さな穴をあけて星が見える天体望遠鏡を作り出すと、それを見て他のグループも真似をして作っていきます。お互いのアイディアを見て、真似をし合ってより良いものを作っていく姿は年長児らしいものがありました。
お家ができあがった頃に年中児と年少児が遊びにやってきました。少し照れながらも小さな手を引いて案内してあげる姿はとても大きく見えました。
3週間という短い時間でしたが年齢別での活動で、一人ひとりが進学へ向けて確実な手ごたえを感じ、やりきったという達成感は大きな自信へ繋がったことと思います。友達同士で話し合い、時には衝突し、悩み、協力する。幼稚園生活の3年間、そして年齢別での3週間で子どもたちは遊びの中から沢山の経験をし、学んできました。この経験はきっと小学校へいっても生かされることと思います。残り僅かな時間ですが、子どもたちが卒園最後の一日まで存分に楽しめるよう保育に努めて参ります。どうぞ宜しくお願い致します。
さくらグループ担当 坪井亜希子