入園・進級してから2か月が経ち、新しい環境に慣れてきた子どもたちは、日々経験と体験を積み重ねて大きく成長しているところです。進級当初、慣れた様子で遊びだす年長児の姿をじっと見ていることが多かった年中児も、新しいおもちゃ、新しい遊びに段々と目を輝かせ「入れて」と言って年中長が混ざって遊ぶ姿が多くみられるようになってきました。
つい立てを広げてお店を作ると、床に絨毯を敷いてキッチンを作ります。お店の中が整ったら次はお買い物です。カゴを持ってイチゴやケーキの上に乗せるクリームを買いに行きます。材料がそろったらいよいよケーキ作りです。空のカゴをひっくり返して布で巻き、仕上げにイチゴやクリームで飾り付けをします。「大きいケーキだけじゃなくて小さいのも作ったらどうだろう」と話し合って小さなカップケーキも店頭に並びました。準備が整ったらつい立てにかけていた布を取っていよいよ開店です。「ケーキはいかがですか?」という呼び声に早速お客さんがやってきます。桃色さんが買いに来たのを見ると「崩れやすいのでお家まで運んであげますね」と言ってケーキが崩れないように運んであげる姿もありました。
ケーキ屋さんの隣では美容院に列ができています。鏡の前にお客さんが座ると、布を体にかけながら「どんな髪型にしますか?」と問いかけます。お客さんの様々なリクエストに応えながら髪を切り、洗髪も済ませると最後はドライヤーで髪を乾かしてお終いです。お客さんも嬉しそうに帰っていきました。子どもたちの過ごす日常がそのままごっこ遊びとして投影されている様子を強く感じます。
そしてみんなで遊んだ後はお片付けです。先日、片付けの際に年中児が「とちの実」を集めていると、ふとした拍子に地面にばらまいてしまいました。びっくりして固まる桃色さんに、さっと近くにいた藤色さんが寄ってきて「大丈夫、大丈夫。また集めればいいんだよ。一緒に集めよう」と言ってあっという間に集めてくれました。このような日々の小さな関わりが積み重なり、桃色さんは藤色への憧れの気持ちを芽生えさせていくのだなと感じました。
子どもたちは「遊び」を通して様々なことを学んでいます。友達同士の関わりの中で自分の思いを上手く伝えられないことや、逆に自分本位になりすぎて相手を傷つけてしまうこともあります。しかし相手と話し合い、今まで以上に良いものを作り上げることができた喜びや、分かり合えた喜びを感じることが出来ます。集団生活の中で起こる一つ一つの出来事に宿る意味を感じながら、子どもたちにとって幼稚園が居心地の良い場所になるように日々保育に励んで参りたいと思います。
大地組 担任 坪井亜希子