陽射しが暖かく感じられる日が増え、いつの間にかプランターに植えられたチューリップの球根が芽を出し、春が近づいていることを感じます。
3学期になって、虹組ではマントをつけるのが流行しました。朝登園すると、「マントにしてください。」と言って布を持って来ます。長さを調節しながら、布を結んであげると「あーりがとう。」と言って、遊び始めます。家族ごっこをしている子もパン屋さんの子も電車の運転手さんも、誰も彼もがマントをしていて遊んでいることもありました。
ある日、何人かの子どもたちが、マントを付けて家を作って遊んでいました。テーブルの手前に茶椅子を置いて、テーブルの上に腰を掛けると良い具合に足の位置に茶椅子があり、足を置くことができました。みんなより高い位置に腰掛け、子どもたちは男の子と女の子でペアを作って王子様とお姫様になって遊んでいました。しばらくして、男の子が「僕は王子様だから、王冠をしなくちゃ」と言って、冠をつけ始めました。すると女の子が、結ぶタイプの冠を持ってきたので、布をベールのようにしてあげると、それを見た他の女の子たちが次々に紐を持って私の所にやってきました。女の子たちがベールをつけ終わると、今度は「結婚式の所へ行かないと!」と言って、王子様とお姫様は結婚式ができる場所を探して移動し始めました。結婚式の所って、教会?それともパーティーをしたいのかしら?と思いながら手仕事をしながら見ていると、いつの間にか元の家に帰って来ていました。その頃には3、4組の王子様とお姫様のカップルが出来上がり、並んでテーブルに座っていたので、思わず「お雛様みたいだね。」と声を掛けると、その途端、今度はお雛様ごっこが始まりました。子どもたちは、段々になっているイメージが真っ先に浮かんだらしく、茶椅子より低くなるようにベンチを持ってきて茶椅子の前に並べ始めました。そうして椅子を置いて、ちょうど良いタイミングで園長先生がいらしたので、お雛様の子どもたちを写真に撮ってもらいました。
子どもたちは、王子様になってマントを付けて遊んでいるうちに、お姫様が仲間に加わり、そこから結婚式になり、お雛様ごっこへ発展していきました。保育者は「こうしたい」という子どもたちの希望を叶えながら、よりそれらしく見えるようなアイディアを提案して、子どもたちのイメージがより豊かになるように助けます。
お寿司屋さん、電車での旅行、ホテルに泊まってバイキングの食事‥・、子どもたちが体験したことがイメージとなって、毎日遊びの中に広がっていきます。テーブルやつい立て、椅子を使ってダイナミックに遊ぶ子どもたちを見ていると、虹組の部屋では窮屈に感じられるようになりました。縦割りの広いお部屋に引っ越す準備が整ってきていることを感じます。
虹組担任 青木綾子