雪が降ったり、北風が冷たい二月でした。そして今、土手の桜の枝にはたくさんの、まだ固い芽が春の到来をまちわびています。散歩のたびに枝を眺めながら、手をつなぐ子どもたちの進級、卒園がもう目の前なのだと、感慨深くなります。
二月は、年齢別活動でさくら・けやきグループに分かれ、さまざまな経験を積んだ時でもありました。カレーライス作り、お家作りを通して、いつも以上に“仲間”を意識しながら過ごしたと言えるでしょう。
そんなある日、2 グループで土手散歩に行きました。ひとしきり遊んで幼稚園に帰る前に「だるまさんころんだをやろう!」とみんなに声をかけました。一回目は斎藤先生が鬼になり、お手本を示すと、大まかなルールが伝わりました。
保護者の皆さんは、この伝承遊びをご存知ですか?鬼が目を隠して「だるまさんがころんだ」と言う前に鬼に少しずつ近づきます。動いているところを見られてしまうと、捕まえられてしまいます。仲間が捕まれば、全力で助けに行くという、かなりスリリング!かつ友愛精神に満ちた遊びです。
二回目は、子どもが鬼をやりました。この鬼は厳しく、次から次へと仲間が捕まってしまいました。「捕まった仲間を助けるぞ!」と、鬼に近づく子どもがみんな、後一歩というところで捕まるので、ながーい列ができました。大人もみんな捕まって、もう、誰も私たちを助ける子どもが残っていない…と思ったとき、一歩ずつ、一歩ずつ鬼に近づく子どもたちがいました。実は、後ろの方にいたかったけれど、この状況の中、「私がみんなを助けなきゃ」と、勇気をふりしぼって前に進んできたのです!
みんなの注目を一身に受けて頬を紅潮させながら、より慎重に歩みを進めていることがわかります。全員の期待が高まります。応援する声があがり始め、そこには不思議な一体感が生まれました。
さて、この話の結末は…本当に残念なことにみんなが捕まってしまったのですが、最後に捕まえられた子どもを労うと、その表情には達成感のようなものが見て取れました。大勢の子どもが、この伝承遊びの魅力を理解したようで、「そろそろ幼稚園に帰ろう」と言うと「もう一回やりたい!」という声が聞かれました。春三月を間近に感じたひと場面でした。
年長児担当 平林 美和