第290号 平成20年9月26日 みねまち学園 嶺町幼稚園

















多くの手を借りて子は育つ 手塚 映子

 先日の「祖父母の会」では、祖父母の方に多数ご出席頂き、子ども達は楽しいひとときを過ごすことができました。心よりお礼を申し上げます。
 各クラスをまわりながら、私が感じたのは祖父母の方達の落ち着いた穏やかな雰囲気です。その中で子ども達はとても居心地が良さそうでした。会のはじめのうち、少々の高揚や緊張する子どもの姿があっても、間もなく自然な振る舞いになっていくのが、毎年の印象です。お母様やお父様にいらして頂く時とは異なった雰囲気があります。
 それは、幼児が大人の自分に向ける眼差しや心持ちに敏感であるという表れでもあります。ご両親はきっと「幼稚園でしっかりやっているかしら」といろいろと気にされながら参加されていることでしょうから、その緊張が子どもに伝わっていきます。すると子ども達は何となく感じる居心地の悪さから、わざとふざけてみたりして、普段にはないような言動をとってしまうことになります。
 そして「祖父母の会」での違いといえば、祖父母の方は、豊かな人生経験から多少なことでは驚かない落ち着きや知恵がおありだからこそ、細事にこだわらず「子どもが笑顔で元気に居ること」に喜びをもって、大らかに子どもや保育者をも包み込んで下さっているからだと思います。
 さて、ここから私がお伝えしたいのは、両者それぞれに役割があって子どもには双方必要と言うことです。ご両親は保護者の責任から厳しくなって当たり前で、時におじいちゃんおばあちゃんの対応があまく見えたとしても無理ありません。けれども、その緩急のバランスが程よく取れていれば大丈夫なのです。子どもは、ちゃんと分かって育っていきます。
 そして、食物の栄養素をバランスよく摂取するからこそ吸収率があがるのと同様に、子どもがいろいろな人の中で育っていくようにしてあげたいものです。親類はもちろん、お友達のお母様・近所のおじさん・習い事の先生・・・いろいろな立場でいろいろな性格の方が、多面的に子どもの心に刺激を与え寄り添って下さるはずです。
 また、そのお付き合いのなかで子どもが家庭ではない言動を見せることもあるでしょう。小学生になればなお更です。それは善い行いにしても悪い行いにしても事実で、お母様は認めていかなければなりません。そして様々な人がそれぞれの立場からその子どもの良いところ心配なところに対応してくれていることに感謝する気持ちが大切ですね。小学校になりますと、子どもの世界がぐっと広がります。時々お話で耳にするのが、お母様がご自分の前に居るときの子どものあり様しか信じられずに、学校や友達宅での様子を聞いても受け止められずにいるというケースです。そうしますと、まずお母様が周囲から孤立してしまい、もちろん子どもにも良い影響はありません。
 子どもにとって、家族が信頼の核であり、家庭がやすらぎの場であることが基本です。けれども、その中で囲うようにして子育てすることは親子共に息苦しくなってきます。ご両親がコミュニティーに繋がっていて家庭が外の社会に開いていると、家族が豊かになっていきます。そして自然と子どもの社会性が良い方向に伸びていくものです。































  

 一雨ごとに吹く風が、心地よく感じられるようになりました。多摩川土手を、風のように走る子どもたちのその後姿が、日々たくましくなることに頼もしさを覚えます。10 月の運動会に向けて、身体を動かしての活発な活動が増えた今日この頃です。
 たてわりクラスの子どもたちはみな、前年の経験を思い起こすのか、意欲的なように感じます。年長さんはあこがれのリレーを、年中さんはダンスをとても楽しんでいます。幼児期に合った活動を通して、身体を動かすことに喜びを感じる経験になるようにと願っています。

 先日、庭先でこんなことがありました。年長さんが、自分の背より高い跳び箱によじのぼっていると、真下から「すごいすごい!」と歓声を上げていた年中さんがいました。跳び箱の上の年長さんはとても誇らしげで、照れているようにも見えました。
 一年前より(跳び箱が)高いことや(走る距離が)長いことを肌で感じ、またそれができたことに喜びも感じているようです。また、幼稚園の経験ばかりではなく、「夏休みに去年は入れなかった海に、今年は大喜びで入ってきました」という声も多く聞かれました。
 私たち大人は失敗を反省したり、苦い経験をバネに「次は気をつけよう、こうしよう」と考え行動しますが、子どもたちは毎日小さな階段を登って、「いつの間にか、ずいぶん高いところまできていた」という感覚で成長していくものです。はがゆいこともありますが、そばでそれに気づいたときは、本当に宝物のようです。

 運動会でもたくさんの宝物が、見つけられますように。

光組担任 平林美和